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ヘリコバクター・ピロリ菌とは?
胃粘膜に棲みつく細菌であるピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ菌)は、慢性胃炎(慢性萎縮性胃炎)、胃・十二指腸潰瘍、胃がんなどの主な原因とされています。一旦感染すると生涯感染が持続しますが、2013年より保険で除菌することが可能となりました。
ピロリ菌感染症は、多くの方が自覚症状がほとんど無いまま経過します。しかし、経過の中で胃潰瘍や十二指腸潰瘍を発症したり、慢性胃炎(萎縮性胃炎)が拡がってくると胃の働きが低下するため胃もたれや胃痛を来したり、また胃がんの発生率も上がります。
ピロリ菌感染の原因
ピロリ菌感染原因は明らかではありませんが、その多くは10歳までの小児期の経口感染によると言われており、生活環境や家族内からの感染などが考えられています。以前は井戸水などの飲料水が原因とも言われていましたが、衛生環境の良い現在では唾液を介した感染が考えられています。
ピロリ菌によって起こる可能性のある疾患
胃炎(慢性胃炎・萎縮性胃炎)、胃がん、胃・十二指腸潰瘍、機能性ディスペプシア・胃食道逆流症、鉄欠乏性貧血 など
ピロリ菌検査をおすすめする方
- 胃の不調が続く方
- バリウム検査で慢性胃炎が指摘された方
- ご家族にピロリ菌感染者がおられる方
- ご家族に胃がんの方がおられる方
- 胃・十二指腸潰瘍の再発を繰り返している方
- ピロリ菌の除菌治療後に除菌判定を行っていない方
- 慢性蕁麻疹のある方
- 鉄欠乏性貧血が続く方
ピロリ菌の検査方法
ピロリ菌検査には、いくつかの方法があります。
また、健康保険でピロリ菌の検査を行うことができるのは、胃カメラで胃炎と診断された場合、胃潰瘍または十二指腸潰瘍と診断された場合などです。ピロリ検査のみは自費診療になります。
内視鏡を使用する検査
迅速ウレアーゼ検査
ピロリ菌が分泌する「ウレアーゼ」という酵素を利用した検査です。内視鏡を使用して胃粘膜の組織を採取し、特殊な薬品と反応させて菌の有無を調べます。胃薬(プロトンポンプ阻害薬など)内服中や抗生剤内服直後は、検査結果が偽陰性(陽性であるにも関わらず陰性という結果)になるため注意が必要です。
培養法
内視鏡で採取した胃粘膜組織を培養し、ピロリ菌感染の有無を調べる方法です。結果がでるまで数日かかります。ピロリ菌の抗菌薬に対する感受性を調べることも可能ですが、感受性検査は保険適用外です。
検鏡法
顕微鏡を使用して直接ピロリ菌の有無を調べる方法です。採取した胃粘膜組織を特殊な薬品に浸し、それを顕微鏡で観察してピロリ菌の有無を調べる検査です。
内視鏡検査を使用しない検査
尿素呼気試験
もっとも精度 の高い検査法で、専用の診断薬を使用して呼気中の二酸化炭素量を調べます。ピロリ菌感染があると、ピロリ菌が分泌するウレアーゼの作用によって呼気中の二酸化炭素量が増加します。その性質を利用し、診断薬服用前後の呼気を集めて診断します。除菌前の感染診断と除菌療法後の除菌判定に推奨されておりますが、プロトンポンプ阻害薬内服中は検査結果が偽陰性になることがあります。
便中抗原測定
便を採取して便中のピロリ菌を調べる検査です。精度は高く、除菌前の感染診断と除菌療法後の除菌判定に利用されています。
抗体測定
血液検査や尿検査によって体内のピロリ菌抗体を調べる方法です。ピロリ菌に感染することにより体内にできる抗体の有無を調べる検査法です。健診や人間ドックで広く用いられている簡便な検査法のひとつですが、過去の感染でも陽性になりますので、抗体検査で陽性であっても現在ピロリ菌に現在感染しているとは限りません。
ピロリ菌の除菌治療
ピロリ菌の感染が判明しますと、除菌治療をおすすめします。除菌治療には酸分泌抑制薬と2種類の抗生物質(アモキシシリン・クラリスロマイシン)の3剤が用いられます(1次除菌)。これらの薬剤を1日2回、1週間服用することにより約70〜90%の方は除菌に成功します。除菌に失敗した方は抗生物質の組み合わせを変更し再度治療します(2次除菌)。
除菌に成功しているか失敗しているかの判定は、除菌治療薬内服終了後1〜1.5ヶ月後に尿素呼気試験などで判定いたします。判定のための胃カメラ検査は必要ありません。